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アルファポリス
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72 Spirits of Solomon The King

48-Haagenti

豊穣なる牛 - Haagenti, The Cherubin

ハゲンティ - Haagenti, Hagenith, ハーゲンティとも。ソロモン72柱の魔神の1柱にして、地獄の総統である。33の悪霊軍団を従える。召喚者の前にグリフォンの翼を持った牛の姿で現れる。命じると弓矢を持った赤褐色の男の姿をとる。召喚者に錬金術の知識を与える。金属を金に変え、水をワインに、ワインを水に変える。迅速、狩猟、追跡を司る。同じく72柱の魔神で、牛の姿をとるザガン Zagan と似ているが、ハゲンティはより穏やかな英霊である。

このハゲンティは古代の雄牛崇拝に関連のある神であったと思われる。人の頭は知性、牡牛の胴体は豊穣を意味している。そして翼は権力と聖性を明確に示している。

古代アッシリア・ニネヴェ遺跡からは、多くの人面有翼牡牛像が発見されているが、たっぷりとした髭を蓄えた威厳のある姿は崇拝さかんなりしころを十分に想像させる。翼があるのは、境界を示す役割を果たしていたからである。無翼の牡牛像とともに、死と生/天と地/聖と俗を分ける番人的な役割も果たしていたと思われる。

*「水をワインに、ワインを水に〜」 - やや蛇足であるが、現代の手品にもそのようなものは存在する。基本的に手先の業が問われるもので、水に特定の化学物質を混入し反応させることで、まるで水がワインに変化したように見える。無論飲むことは出来ない。同じように、配合によって逆に「ワインを水にかえる」ことも、行うことが出来る。錬金術らしい記述の一例といえる部分ではないか。

あと、少し話が変わるが、聖書・ヨハネ福音書(2章1〜12節)「カナの婚礼」において、イエスも水をワインに変える奇跡を行っている。おそらくこちらには象徴的な意味合いが大きいと思われる。古代ユダヤ教では、高位の祭司たちはパンとワインでともに食事を取る習慣を持っていたようであり、逆に言えば平信徒対してはそのような食卓につく宗教的権限はなかった。つまりイエスは「カナでの婚礼」において、あえて平信徒にもワインを飲ませることによって、「神の血を飲む」という高位の祭司の行為を、平信徒もしていいという事を暗示したのではないか。つまりイエスは、高位祭司による権限の独占をとがめていたのかもしれない。

しばしばゲーティアに書かれるデーモンの記述には、こうしたユダヤ・キリスト教的概念のパロディが現れる事がある。「水をワインに、ワインを水に〜」もそうした記述のひとつと考えてもいいのかもしれない。



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